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第6回 「無事に生まれる事の奇跡 〜ホワイトリボンご存じですか?〜」femalelife club掲載記事

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femalelife clubに井上院長が寄稿した記事を許可を得て、転載いたします。

【femalelife club】http://www.femalelife.jp/club/backnumber/118.html

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日本と世界でこれほど異なる出産事情に、
おなじひとりの女性としてあなたもきっと驚くはず。
状況は違っても出産は今でも命がけの仕事です。
そして井上先生のラストメッセージ「リボンの心」に込められた
先生の深い想いを、いつまでも胸に刻んでおきたいと思います。
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第6回
「無事に生まれる事の奇跡 〜ホワイトリボンご存じですか?〜」

*無事に生まれる事の奇跡
出産は病気じゃないから…こんな言葉、お聞きになった事ありませんか?
妊娠は健康な女性がするので出産できるのは当たり前?
無事に生まれて当たり前!
こんな風に未だに考えている方おいでだと思います。
「お産は命がけです」2013年日本では約103万人の新生児が誕生しました。
しかし残念ながら出産が原因で命を亡くした女性は約50人。
医学先進国のこの国でも、お産が原因で亡くなる女性は零にはなりません。
しかしこの確率は、世界的にみるとトップレベルの数字です。
*ホワイトリボンご存じですか?
発展途上国では多くの女性が妊娠や出産によって命を落としています。
ホワイトリボンは、女性たちへの哀惜の意を込めたシンボルマークです。
21世紀に今日でも、発展途上国ではお産は命がけです、年間35.8万人、
毎日約1000人の女性が妊娠や出産が原因で亡くなっています。
死亡の原因は出産後の出血多量、感染症、安全でない中絶です。
医師の数も比較にはなりません。年間約2億人の女性が妊娠、
そのうち35%が望まない妊娠と言われています。
この22%が人工妊娠中絶を受けています。
日本との比較をしてみますと、母子保健大国と呼ばれる日本でも、
現在でも人口妊娠中絶は20%を超える報告です。
避妊法に関する情報は誰でも得ることが出来るのに、産婦人科外来では
予期せぬ妊娠は減少しません。加えて出生前診断の結果、人工妊娠中絶の
相談に受診される方もいます。
日本の平均寿命は87歳、出生率は1.4人、
出産の医師・助産師などの医療者が付き添う率はほぼ100%、
成人HIV感染症は0.1%、妊産婦死亡率は10万あたり5人。
途上国では多くは平均寿命44歳代、出生率は7人以上、
出産の専門技術者の付き添いは20%前後、
成人HIV感染症は20%以上、妊産婦死亡率は10万人あたり1400人と
日本の200倍以上が出産で亡くなっています。命がけのお産ですね。
*日本で考えるホワイトリボン
産婦人科医療危機というニュースを記憶にあるでしょうか?
分娩施設数は1993年の約5300から、現在は約2600と減少しました。
大都市を除いて産科施設まで数10キロから100キロも移動する
地方もあります。分娩時の母体年齢は上昇し2002年には初産年齢は
世界2位でした。生殖医療も進歩から高度不妊治療によって出産される女性も増加、
帝王切開術の割合は20%を超えました。
反面、「できちゃった婚」の割合も20%を超えます。
望んだ時に、望んだ数の子供を妊娠できる国でありながら、バースコントロールは途上国並、
少子化社会では子供は大切は資産、宝物ですね。
産婦人科医師として常に望みます。どうか女性としての自分の体を大切に、
正しい知識を持って生きて欲しいと思います。
世界では「リプロダクティブ」が全く違ったレベルしか実現できずに
命を落とす女性が沢山います。正しい情報を得る事は可能です。
お産は今だって「命がけ」です。
医療がどんなに進歩しても救えない出産もあります。
*リボンの心
今回で私の担当する原稿は最後になりました。
締切が間に合わなくていつも担当の方をはらはらさせてしまいました。
1回も嫌味を言わず見守りしてくれました。感謝。
リボンの心とは思いやりを形に示すことかなと思います。
乳がんの患者の理解を啓発するピンクリボン、
エイズとHIV感染症の理解がレッドリボン、
子供の虐待防止のシンボルはオレンジリボン。
今回は取り上げませんでしたが、
配偶者からの暴力予防のシンボルはパープルリボン、
見えない障碍者を想定理解するシンボルの透明なリボンという活動もあります。
例えば、見た目では全く健常者?と思えても、自閉症やペースメーカー装着など、
多くの人がそれぞれ大きさや命に係わる程度は違えど、
「困難」を持っているかも知れないです。
3月にベビーマークというシンボルマークが発表されました。
電車にベビーカーを持ち込んで乗るママと赤ちゃんに協力して下さい。
確かに電車にベビーカーで乗車してくると白ーい眼で見てる方も多いのが現実。
日本は「おもてなし」の在る国だとアピールするなら、
本当はベビーマークなんかなくても大丈夫な社会がいいなあと思いますね。
ベビーカーを押しても生活しやすい街は車いすを押しても動きやすい街。
少子化超高齢化社会ではいつか自分も車いすで電車に乗ったり、
お買い物に出かけるのが日常になる日が来ます。
3人に1人が、がんで死ぬ時代。32万人が、がんサバイバーとして働いています。
長い人生、いろんな色のリボンをつけていく時代。
思いやりの心をリボンで心に留めて生きたいですね。