医院トピック

第2回 「知ってますか? 子宮頸がんのワクチンの事?」femalelife club掲載記事

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femalelife clubに井上院長が寄稿した記事を許可を得て、転載いたします。

【femalelife club】http://www.femalelife.jp/club/backnumber/110.html

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もしあなたが20歳から30歳なら、ぜひ読んでください。
なぜって貴方の歳が婦人科特有がんのなかで
子宮頸がんになる第一位だからです。
「知識は無料で安全なワクチン」井上先生の
素晴らしい言葉のとおり、
まずしっかりHPV(ヒトパピローマウィルス)のことを知って
正しい判断をしてください。

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第2回
「知ってますか? 子宮頸がんのワクチンの事?」

テイール&ホワイトリボンは子宮頸がん啓発のシンボル
ピンクリボンはご存じでも、このリボンはまだまだ
認知されていませんね。最近になって緑色と白色のリボンを
つけている婦人科医も見かけるようになりました。

*婦人科検診を受けましょう。
がん検診を受ければ必ず早期がん発見できるか?というと決して
そうではありません。検診で発見し易いがんと、
一般の検診方法では見つかりにくいがんがあります。
卵巣がん・すい臓がんは見つけにくいがんですが、子宮頸がんは
検診で発見しやすいがんです。子宮頸がんは公費検診も
各自治体負担で20歳から申し込めば隔年毎に受診が可能です。
婦人科特有のがんの中で乳がんに次いで罹患率が高く、
年間約15000人の日本女性が新たに発症、
約3500人が命を落としています。20歳~30歳台の女性では
婦人科特有がんで第1位です。

*HPVワクチンについて知って下さい。
子宮頸がんはHPV(ヒトパピローマウィルス)の感染による事が
報告されているがんです。HPVには100種類以上のタイプがあり、
その中で高リスクHPVに数年から数10年に渡って持続感染すると
子宮頸がんを発症するとわかってきました。
HPVはセックスで感染しますが多くは自然に治癒すると言われています。
HPVに感染するのは女性だけではなく男性も感染します。
なぜ女性だけがワクチンを接種するのか?と
営業に来た製薬会社の担当者に質問したところ、
「子宮頸がんに罹患するのが女性だから??」との返答。
少女達だけでなく将来は少年にもワクチン対象を広げる国もあるとか。
HPV予防ワクチンは、世界120か国以上で承認され、
その有効性・安全性が広く認められたワクチンで、
世界保健機関(WHO)が接種を推奨し、日本でも2013年4月から
公費負担の定期接種になりました。
最近報道されたワクチン接種後の強い疼痛、
複合性局所疼痛症候群にとまどいを感じる女性も多いと思います。
ワクチンそのものの薬で起きた副反応なのか?
筋肉注射の痛みによって起きた副反応なのか?検証中です。
頻度は非常にまれでも、新聞やメデイアで報道されると、
厚生労働省は、副反応についての日本における調査と解析を
進めているために「現在、接種と積極的には勧めませんが、
公費負担はします」という対応をしています。
検診さえしておけば子宮頸がんは早期発見が可能だから
HPV予防ワクチンは接種しなくてもがん死は減らせるという
意見の医師もいます。しかし、子宮頸がんには、組織学的に
扁平上皮癌というタイプと、腺がんというタイプがあります。
近年は約40%が腺がんと言われいます。
腺がんは扁平上皮がんに比べて検診ではみつけにくいと言われています。
私の所の外来でも、未婚のまだ若い女性にHPV感染による
前がん病変が見つかることが多々あります。
ハイリスクHPVである16型18型は若い人に感染が多いと
報告されています。
ワクチンの接種対象は性体験がない11歳~14歳が
学会推奨ですが、45歳以上でも自己負担で接種は可能です。
HPVワクチンに関する情報は厚生労働省のホームページにも
公開されています。フェイスブックやホームページに
副反応を発症したケースも投稿されていますが、
ぜひ産婦人科学会などの公的ホームページも参照にして
情報を確認して判断して欲しいいと思います。

*婦人科がんの予防
知ることが一番のワクチンです。子宮がんイコール子宮摘出では
ありません。早期のがんで発見できれば子宮温存する手術
(子宮腟部の円錐切除・レーザー治療)が可能です。
出産をするチャンスもあります。
子宮頸がんは定期的ながん検診と、ワクチン接種で予防が可能です。
子宮頸がんワクチンを接種した国では、すでに子宮頸がんの
前がん病変の減少が報告されています。
また、経口避妊薬(低用量ピル)には子宮体がん・卵巣がんの
発症リスクを軽減する効果が報告されています。※
14人に1人が乳がん、100人に1人が子宮がんに
かかると言われています。
自分がワクチンを受けるかどうかは「自分で判断して下さい」が
国の基本です。医療行為には必ず「利益・不利益」があります。
HPVワクチンの利益はHPVの感染を減らし、
前がん病変になる異常(異形成)を予防する事、
すなわち子宮頸がんを予防する事が期待出来る事です。
不利益は数十万回に1回の確率で起こる重い副反応です。
この2つを比較すると現在の段階では利益の方が大きいだろうと
私は思います。実際に接種を受けるかどうかはあなたの
かかりつけ医師に相談されて、自分で決める事ですが、
日常的に外来で、10代20代の女性の前がん病変や、
子宮頸がんに遭遇する度に、HPVワクチンの効用、
より安全なワクチンの開発、16型18型以外の多くの
ハイリスクHPVに効果のあるワクチンの開発を祈ります。
医療情報は日々発信されています。
知識は無料で安全なワクチンですね。