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不妊治療の概要

当院の不妊治療におけるポリシー

当院来院までの経過や現在の状況を十分に問診させていただき、ご夫婦のお考えを最大限に反映させた治療方針をご提示させていただきます。

とくに女性側の年齢は不妊治療の結果を大きく左右します。年齢に応じた最適な治療方針をご提示させていただきます。

治療内容については十分に説明し、患者様にとって安心、安全な医療をご提供できるように常に心がけます。

治療結果については詳しく説明させていただきます。さらに、その結果を踏まえて次につながる治療方針をご提示させていただきます。

当院の不妊治療の特徴

不妊治療と婦人科手術(子宮筋腫や卵巣嚢腫など)を一体化させた効率的かつ総合的な治療が可能です。

  • 一般の不妊専門クリニックでは子宮筋腫や卵巣嚢腫など、手術の必要性が生じた場合、いったん不妊治療を中断し、手術可能な施設に手術依頼をし、術後再び患者様に戻って来ていただき不妊治療を再開する、といった手順になります。
  • 当院には常勤の麻酔科専門医がおり、腰椎麻酔、硬膜外麻酔、全身麻酔など各手術に適した麻酔を施行し、腹腔鏡手術や開腹手術への対応が可能です。
  • 不妊治療開始前や治療中に、子宮筋腫や卵巣嚢腫の手術の必要性が生じた場合には他院に患者様をご紹介することなく、当院で手術をしていただけます。自院で手術を行うことで時間的なロスを極力減らすことができます。
  • ただし、悪性が疑われる場合や患者様が合併症をお持ちの場合などのハイリスク手術は、しかるべき医療機関に責任を持ってご紹介させていただきます。

不妊治療の進め方

基本的な流れ:タイミング療法 ⇒ 人工授精 ⇒ 高度生殖医療

各ステップでホルモン療法、漢方療法、手術療法を組み合わせて治療を進めます

タイミング療法

  • 最近、外来診療の中で「夫婦共に仕事を持ち、お互い多忙でほとんど性交渉を持つことさえままならない」といった話をよく耳にします。なんとか、ご夫婦で話し合い、折り合いをつけながら、まず排卵日でのタイミング合わせから始めてください。
  • 一般不妊検査で妊娠の妨げとなるような問題がないことが判明し、かつ女性側の年齢が40歳未満であれば、不妊治療の第一歩であるタイミング指導から開始するのが良いと思われます。ただし、タイミング合わせは多くても3~5回程度にとどめ、治療のstep-upが必要です。
  • スマートフォンアプリや基礎体温だけで排卵日を正確に判断することはできません。超音波検査や尿の排卵検査薬を使用すると排卵日がかなり正確に診断できます。
排卵日診断は、月に1~2回程度の通院で可能です。

人工授精

  1. 原因が不明で不妊期間が2年以上あるご夫婦の場合
  2. 不妊検査により男性因子の存在が明らかになった場合
  3. 妻が40歳以上である場合

このようなご夫婦には不妊治療を人工授精からスタートすることをお勧めします。ただし人工授精は理論的には自然に近い妊娠を目ざしたもので、5回程度行って15~20%程度の妊娠率です。タイミング合わせと比較して若干の妊娠率向上は期待できますが、人工授精にあまりこだわることなく3~6回の人工授精で結果が出ない場合には体外受精へのstep-upが必要です。

以下に人工授精の大まかな手順をお示しします。

  1. 超音波検査や排卵診断薬により正確な排卵日を推定し授精日を決定します。
  2. 授精当日の朝、ご主人様には採精していただき奥様にはそれを持って来院していただきます。
  3. 精液には「洗浄濃縮」という処置を行い、精液中の雑菌を除去すると共に状態の良い精子を集め、これを子宮内に注入します。
人工授精では排卵診断日と授精当日の1周期に最低2回の通院が必要です。

ホルモン療法

1黄体ホルモン補充療法

  • 不妊検査で高温期での黄体ホルモンの分泌低下が明らかになれば黄体ホルモンの補充を経口剤や注射剤で行います。
  • 黄体ホルモンの分泌不全(黄体機能不全)は受精卵の内膜への着床障害初期の流産の原因になることがあります。

2排卵誘発

排卵誘発剤の種類

  • 排卵誘発剤には経口剤と注射剤があります。
  • 患者様のホルモン状態(無排卵の原因)に合わせた薬剤の種類や用量の選択が必要になります。
  • お仕事で頻回の通院が困難な方には自宅で行える自己注射剤もご用意しております。
  1. 経口剤
    クロミフェン(クロミッド)、シクロフェニル(セキソビッド)、レトロゾール(フェマーラ)などは軽度の排卵障害に使用
  2. 注射剤
    HMG製剤、FSH製剤などは重症の無排卵症に使用

排卵誘発剤による治療が必要な場合

  • 排卵が不規則、また無排卵の方:重症度に応じて経口剤や注射剤を使い分けて、または併用して排卵を規則的にしタイミングを合わせやすくします。
  • 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS):多くの場合、排卵誘発が必要になってきます。基本的には経口剤から開始しますが、経口剤が無効なPCOSが30~40%程度存在します。このような方には注射剤による排卵誘発を使用しますが、PCOSは卵巣過剰刺激症候群(OHSS)になり易く、注射による排卵誘発には細心の注意が必要です。
  • 人工授精で排卵誘発剤を併用することがあります。明らかな原因のない不妊(機能性不妊という)では、人工授精と排卵誘発剤の併用が妊娠率の向上に有効であるとする報告があります。

3高プロラクチン血症

プロラクチン(PRL)は下垂体から分泌されているホルモンで、乳腺に直接作用し乳汁分泌作用があります。妊娠中や授乳期でない女性が高PRL血症になると排卵が抑制され不規則排卵や無排卵の原因となります。

不妊原因として重要で、無月経の方の20%前後に高PRL血症が認められるとの報告があります。経口剤により治療が可能です。原因として以下のものが挙げられます。

  • 多くは機能性(原因不明)です。
  • 神経科領域の薬剤の中には高PRLとなるものがあり注意が必要です。
  • 高度の高PRL血症は下垂体腺腫によるものがあり下垂体MRI検査が必要です。

 

4甲状腺機能異常

甲状腺疾患は女性に多く、不妊外来でもしばしば発見されます。不妊治療の中でとくに問題となるのは、胎児発育への影響が大きい甲状腺機能低下症です。

甲状腺ホルモン(T3、T4)は正常値であっても甲状腺刺激ホルモン(TSH)が高値である潜在性甲状腺機能低下症は顕在性低下症と同様に胎児発育に悪影響を及ぼすので治療が必要です。

5糖代謝異常

不妊治療を進めていく上で問題となるのは、すでに診断されて治療を行っている糖尿病はもちろんですが、将来糖尿病を発症するかもしれない糖尿病体質(糖代謝異常、耐糖能異常)を持った方です。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と診断された方の一部に糖尿病体質を持った方が認められます。このタイプのPCOSでは糖代謝改善薬と排卵誘発剤を併用することで排卵率、妊娠率を改善することができます。

漢方療法

月経周期に伴う女性特有の症状、たとえば手足や下腹部の冷え、排卵期や月経前の精神症状(いらいら、不安、気分の落ち込みなど)が強い場合には、漢方薬を人工授精やホルモン療法に併用することで良い結果が得られることがあります。

手術療法(腹腔鏡手術)

  • 最近では、晩婚化により妊娠を望んで来院される方が高齢化しており、初診時に子宮筋腫が発見されることが多くなっています。また若い方では子宮内膜症が増えています。
  • いずれも、不妊の原因として頻度が高く、一般不妊治療で良い結果が出ない場合は状況に応じて手術療法が必要になります。
当院では、患者様の負担軽減のため、短期間の入院で小さな手術創で行う腹腔鏡手術に力を入れております。

腹腔鏡手術の詳細については不妊治療Q&Aの項目をご参照ください

腹腔鏡手術の詳細を見る

高度生殖医療(体外受精、顕微授精、胚の凍結保存、精子の凍結保存)

  • 一般不妊治療では、妊娠に至らない場合には治療をさらに一歩進める必要があります。その際に実施する治療が体外受精や顕微授精の高度生殖医療(ART)と呼ばれているものです。
  • 1978年、イギリスにおいて世界初の体外受精による児が誕生してから40年余りが経過しました。この画期的な生殖医療技術は瞬く間に全世界に普及し、今や不妊治療には必要不可欠なものになっています。わが国でもすでに体外受精により30万人以上の児が誕生しています。
当院では、体外受精に際しては、ご夫婦に十分な説明をさせていただき、そのメリット、デメリットを十分に理解していただいた上で実施しております。

高度生殖医療の詳細については高度生殖医療Q&Aの項目をご参照ください

高度生殖医療の詳細

食事療法:葉酸の効用

  • 葉酸はホウレンソウ、大豆、キノコ類などに含まれているビタミンB群の一種で細胞の合成に深く関わるため、お腹の中の赤ちゃんの成長にとってはとても大切な栄養素です。厚生労働省は妊娠を望む方では葉酸の1日摂取量を0.4㎎程度とすることが望ましいとしています。
  • しかし、必要量の葉酸を1日の食事から摂取することは難しく、サプリメントを利用して効率的に摂取することをお勧めします。
  • 葉酸は妊娠初期の胎児器官形成期における神経系の発達に必要な栄養素です。したがって、妊娠してからではなく不妊治療と同時に摂取を開始することが大切です。
当院では、葉酸をはじめ各種サプリメントをご用意しております。詳しくは担当医にご相談ください。

井上レディースクリニック

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