不妊検査の概要

基本検査 (すべて自費検査になります)

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1はじめに

不妊原因は多岐にわたりますが、3大原因として男性因子、卵巣因子(排卵障害)、卵管因子が挙げられます。

 

  • いわゆる「不妊検査」と呼ばれるものは以下のグラフにお示しした各原因の有無を検査するために行うものです。
  • 基本検査は、原則として保険診療適応外となります。基本検査で異常所見が発見された場合、さらに追加で行う精密検査やその異常に関する治療のために処方する薬剤等には保険が適応されるものもあります。
  • 初診時に必要な費用:不妊カウンセリング料(=初診料)として、お話のみで検査を行わなかった場合は5,000円、不妊検査を行った場合は3,000円+検査料となります。
  • 2回目以後の費用は、再診料と行った検査料を合計したものが必要な費用になります。

不妊原因の割合

 

2基礎体温

  • 日々の細かい体温変化はあまり気にすることはありません。また基礎体温のみで排卵日を特定することは困難ですが、低温期と高温期の温度差がはっきりしているか、高温期が安定しているか、高温期の持続期間はどうか、などに注目すると良いと思います。
  • 基礎体温は不妊検査・治療を進めていく上では、あくまで補助的な位置づけですが得られる情報も多く大切なものです。
  • 不妊外来に通院する方には、ご自分の体調管理にも役立ちますので是非、基礎体温を記載していただきたいと思います。

3超音波検査およびクラミジア検査

  • 超音波検査により子宮筋腫や卵巣腫瘍の有無を検査します。
  • クラミジア感染症の有無につき、子宮頚管内分泌物の採取と血液検査によるクラミジア抗体を調べます。クラミジア感染症は無症状のことも多く、放置しておくと卵管の癒着・閉塞を起こし、不妊や子宮外妊娠の原因になることがあります。

4内分泌検査

卵巣機能検査

  • 月経時にPRL(プロラクチン)、LH(黄体化ホルモン)、FSH(卵胞刺激ホルモン)、卵胞ホルモン(E2、エストロゲン)を測定します。
  • 妊娠中や産褥期(授乳中)以外でプロラクチン値が高い場合は排卵障害や黄体機能不全の原因となります。
  • LH、FSH、E2値により視床下部、下垂体および卵巣の機能を調べ、排卵機能の評価を行います。とくにFSHは卵巣機能の評価に重要なホルモンです。

甲状腺機能検査

  • (採血時期は任意):FT3、FT4(2種類の甲状腺ホルモン)およびTSH(甲状腺刺激ホルモン:甲状腺ホルモンを分泌させるさせるホルモン)を測定します。
  • 甲状腺機能異常は排卵障害や流産(不育症)の原因になります。

黄体機能検査

  • 高温期の7日目前後(6~8日目)に黄体ホルモンを測定します。
  • 高温期での黄体ホルモン分泌不全は受精卵の着床障害や初期流産の原因になります。

5抗精子抗体(精子不動化試験)

  • 妻血清中の精子機能を障害する精子に対する抗体の有無を調べます。
  • 抗精子抗体を持っている方は、体内での自然受精が困難で多くの場合、体外受精の適応になります。

6子宮・卵管の形態学的検査(子宮卵管造影法)

  • この検査は左右卵管の通過性の確認と子宮内腔の形態異常を検査するもので不妊検査では特に重要なものです。
  • 月経後の基礎体温の低温期に、その周期は避妊をした上で子宮腔内に造影剤を注入してレントゲン撮影を行います。
  • 注入した造影剤の腹腔内での拡散状態を確認するために、水溶性造影剤を使用する1日法では30分後に、油性造影剤を使用する2日法では翌日にもう1枚レントゲン撮影を行います。当院では原則的に1日法で行っています。

7男性因子に関する検査

  • 一般的に不妊というと女性側のみに注目が集まりがちですが、最近では男性因子による不妊の割合が増えていると言われています。
  • 「男性因子」と一口に言ってもいくつかの要素が含まれます。多くは精子の数や運動能力に問題がある場合(乏精子症、精子無力症)ですが、それ以外にも勃起不全による性交障害射精障害なども含まれてきます。
  • 本来、性交渉と子作りは一体化したものですが、性交障害や射精障害が原因と考えられる場合は泌尿器科で精査、治療するとともに、早く子供が欲しいというご夫婦のために泌尿器科での治療と並行して人工授精を開始するという選択肢もあります。
  • 男性因子に関する検査としては、まず精液検査は必須です。4~5日の禁欲期間の後に行います。

8フーナーテスト (性交後検査)

  • 排卵日に合わせて検査当日の朝に夫婦生活をもっていただき、 子宮腔内に運動性の良好な精子が到達しているかどうかを検査します。この検査に先立ち超音波検査による卵胞径や子宮内膜厚を測定し排卵日の正確な推定を行います。
  • ただし、フーナーテストの標準的な実施方法や判定基準はなく、再現性に乏しいことなどから不妊検査としての有効性には疑問があるとの意見もあります。
  • 一方、フーナーテストの結果不良は、抗精子抗体の免疫因子、排卵期の子宮頚管粘液の分泌不全、クラミジアなどによる子宮頸管炎などが原因となっていることがあり、他の不妊因子の存在を念頭に検査を進めていく必要があります。

特殊検査

1腹腔鏡検査

どのような場合に腹腔鏡検査・手術を行うのか

  • 原因不明不妊基本検査で明らかな不妊原因が認められないにもかかわらず、タイミングや人工授精では妊娠しない場合に腹腔内の精査目的で行います。これによりわずかな卵管周囲の癒着や子宮内膜症が発見されることがあり、これらの治療を行うことで妊孕性が改善することがあります。
  • 卵管周囲の癒着子宮筋腫子宮内膜症腹腔鏡下で癒着剥離、子宮筋腫や内膜症性嚢胞の摘出手術を行うことが可能です。さらに腹腔内の状態に応じて、その後の治療方針(IVFへのステップアップが必要かどうかなど)を決定します。
  • 腹腔鏡手術の詳細は不妊治療Q&Aの項目をご参照ください。

2子宮鏡検査

  • 子宮卵管造影や超音波検査で子宮腔内に異常が認められた場合に行います。これにより子宮内膜ポリープや子宮粘膜下筋腫が発見されることがあります。
  • 内膜ポリープや粘膜下筋腫は受精卵の着床障害や流産の原因になることがあり、大きいものや数が多い場合は手術が必要になることがあります。

3特殊な内分泌検査

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)が疑われる場合

排卵障害を来たすホルモン異常のひとつにPCOSがあり、最近増加傾向にあるといわれています。PCOSの患者様の中には、糖代謝異常(糖尿病予備軍)のある方や男性ホルモンが高値を示す方がおり以下の精密検査を行います。

  • 耐糖能検査(空腹時に採血):血糖値、血中インスリン値
  • 男性ホルモン検査:血中テストステロン値

下垂体機能不全が疑われる場合

無排卵性周期や無月経の方のなかには視床下部や下垂体から分泌されるホルモンが低下している場合や過剰に分泌されている場合があり薬剤による治療が必要になることがあります。

  • LHRH負荷試験(月経中に採血):下垂体を刺激するホルモンを注射して下垂体から分泌される黄体化ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)を測定することで下垂体機能を診断します。

抗ミュラー管ホルモン(AMH)

卵胞の発育過程で、卵胞から分泌されるホルモンです。その値は今後発育する可能性のある卵胞数に比例するため、卵巣予備能を知る良い指標になります。とくに体外受精実施前には必ず検査し、数値に応じて排卵誘発法や薬剤量を決定します。

  • AMHの詳細は不妊治療Q&Aの項目をご参照ください。

 


【ドクターズファイルに掲載されました】晩婚化により、妊娠・出産を望む夫婦の年齢も上がり、不妊に対する悩みが増えてきている。不妊の原因は、女性側、男性側、また双方にある場合があるが、男性においては、なかなか不妊検査や治療に積極的になれず、女性に責任を押し付けてしまうことも多いそう。そもそも不妊とは何なのか、検査や治療ではどのようなことが行われるのか、「井上レディースクリニック」の中田浩一副院長に話を聞いた。(取材日2015年2月2日)

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